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文花【あやはな】(文学)

源氏物語 若菜 (わかな) 21

{ ポイント }
朱雀院が娘(女三の宮)の事を気に掛ける。

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●原文
またこの宮の御裳着のことを思しいそがせたまふ。
【また この みや の をんもぎ の こと を おぼしいそが せ たまふ】

●原文(漢字を付加)
またこの宮の御裳着の事を思し急がせ給ふ。

●直訳
またこの宮の御裳着の事を心の中で準備なさる。

●意訳
またこの女三の宮の裳着のことを心積もりなさる。

●品詞分解
「おぼしいそが」:「思ひ急ぐ(おもひいそぐ)」の尊敬語である「思し急ぐ(おぼしいそぐ)」の未然形.
「せ」:尊敬の助動詞「す」の連用形.直前語は未然形.
「たまふ」:尊敬の補助動詞「たまふ」の連体形.直前語は連用形.

●解説
・裳着(もぎ)・・・
女子の成人式。
13歳で行う。
これを済ませて後,結婚という段取りが一般的だった。

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●「おもひ」が付く動詞

思ひ急ぐ【おもひ いそぐ】
[直訳] 心の中で準備する。心の中で予定を立てる。

[訳] 心の中でこうしようと考える。心積もりをする。

思ひ準ふ【おもひ なずらふ】
[訳] 心の中で比べる。

思ひ消つ【おもひ けつ】
[直訳] 心の中で消す。

[訳] 無理に忘れる。忘れようと努める。

思ひ沈む【おもひ しづむ】
[直訳] 心の中で沈む。

[訳] 物思いに沈む。

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≪参考文献等≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店
・『源氏物語』を読む
hal.la.coocan.jp/genji/34wajo.html
(アクセス日:2017/9/5)

 
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源氏物語 若菜 (わかな) 20

{ キーフレーズ }
引っ越しの準備

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●原文
御いそぎをせさせたまふに添へて
【をん いそぎ を せ させ たまふ に そへ て】

●原文(漢字を付加)
御いそぎをせさせ給ふに添へて

●品詞分解
「いそぎ」:「準備」の意
「せ」:サ行変格活用.動詞「す」の未然形.
サ行変格活用:「せ/し/す/する/すれ/せよ」
「させ」:尊敬の助動詞「さす」の連用形.直前語は未然形.
「たまふ」:尊敬の補助動詞「たまふ」の連体形
「そへ」:ハ行下二段活用.自動詞「そふ」の連用形.「伴う」の意.
ハ行下二段活用:「へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ」

●直訳
御準備 を あそばせ なさる と とも に、

●訳 1
御準備なさるとともに、

●訳 2
御準備あそばすとともに、

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店
・吉野信子 (2015)『カタカムナ 言霊の超法則』徳間書店
・やまとことばのみちのく

(アクセス日:2017/8/24)

 
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源氏物語 若菜(わかな)19

{ キーフレーズ }
引っ越しの準備

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●原文

移ろはせたまはむほどの
【うつろは せ たまは む ほど の】

 
●原文に漢字を付加

移ろはせ給はむほどの
【うつろは せ たまは む ほど の】

 
●訳
お移りあそばす時の

 
●意訳
お移りあそばすための

 
●解説

・「移ろは(うつろは)」・・・
自動詞。
意(こころ):引っ越す
「うつろふ」の未然形。
ハ行四段活用。

・「せ」・・・
助動詞。
敬いの意(こころ)。
「す」の連用形。
下二段型活用。

・「たまは」・・・
補助動詞。
敬いの意(こころ)。
「たまふ」の未然形。
ハ行四段活用。

・「む」・・・
助動詞。
推量(予定)の意(こころ)。
「む」の連体形。

・「ほど」・・・
頃。時。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店
・吉野信子 (2015)『カタカムナ 言霊の超法則』徳間書店
・やまとことばのみちのく

(アクセス日:2017/7/31)

 
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源氏物語 若菜(わかな)18

【キーセンテンス】
寺を造り終えた。

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●原文
西山なる御寺 造り果てて
(にしやま なる みてら つくりはてて)

●訳
西山にある御寺(みてら)を造り終え、

●言葉の意味
・「なる」・・・
「~にある」
存在の助動詞「なり」の連体形

●「西山なる御寺」
仁和寺(にんなじ)。

●ふること(古言)「なり」(名詞)のこころ(意)・・・
なりいづること。
生(な)り出(い)づること。
生(う)まれ出(で)ること。

●ふること(古言)「なり」のみなもと(源)・・・
「なる」が名詞に化(か)わった。

●ふること(古言)「なる」(動詞)のこころ(意)・・・
なりいづ。
生(な)り出(い)づ。生(な)る。成(な)る。
生(う)まれ出(で)る。

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●「な」の音霊(おとたま)・・・
核(さね)。中心(なかうら)。

●核(さね)・・・
形有るものと形無き霊(たましい)を合わせ統(す)べている核(さね)というものがある。
その核(さね)は「な」という音でもある。

●「な」の数霊(かずたま)・・・
14。

●大和言葉(やまとことば)の源(みなもと)は、二つの音から成る動詞群。

 
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店
・吉野信子 (2015)『カタカムナ 言霊の超法則』徳間書店
・前田富祺 (監修) (2005)『日本語源大辞典』小学館
・やまとことばのみちのく

(アクセス日:2017/5/31)

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≪今日の言葉≫
「物事に名前が付けられると、それに対する不安感が減る」

 
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源氏物語 若菜(わかな)17

【キーフレーズ】
気がかりな朱雀院(すざくいん)

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( 正字体・大和言葉の歴史的仮名遣いと
[現代字体・現代仮名遣い]を併記 )

●原文
誰を頼む蔭にてものしたまはむとすらむと
(たれ を たのむ かげ にて ものし たまはむ と すらむ と)

●原文に漢字を付加
誰を頼む蔭にて物し給はむとすらむと

●訳
「~ 誰を頼りにしてお過ごしになるのだろう」と、

●言葉の意味
・「蔭(かげ)」・・・
「(頼みの)綱」「支え」「あて」「よりどころ」「かばってくれるもの」
・「にて」・・・
「~で」「~によって」
〔手段,方法〕の意味の格助詞。
・「ものす(物す)」・・・
「暮らす」「過ごす」
サ行変格活用。
様々な動きを表す言葉の代わりとして用いられる。
本文では、「暮らす」「過ごす」の言葉の代用として用いられている。
・「たまは(給は)」・・・
「お~になる」
補助動詞ハ行四段「給ふ」の未然形。尊敬語。作者または話者からの動作主に向けてのうやまいのこころ
ここでは、朱雀院(話者)から女三の宮(おんなさんのみや)(動作主)に向けてのうやまいのこころ

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●原文
ただこの御ことをうしろめたく思し嘆く。
(ただ この おんこと を うしろめたく おぼし なげく)

●原文に漢字を付加
ただこの御事を後ろめたく思し嘆く

●訳
(朱雀院は、)この女三の宮(おんなさんのみや)だけが気がかりで、お嘆きになられている。

●その他
・「御」のおとは、「おほみ、おほん、おん、お、み」のうち、より調しらべのおとった。
・地の文で用いられる敬語は、作者からのうやまいのこころ
会話文で用いられる敬語は、話者からのうやまいのこころ

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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源氏物語 若菜(わかな)16

【キーフレーズ】
出家後の憂(うれ)い

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( 正字体・大和言葉の歴史的仮名遣いと
[現代字体・現代仮名遣い]を併記 )

●原文
そのほど、御年、十三、四ばかりおはす。
( そのほど おんとし じふ さん し ばかりおはす )
[ そのほど、御年、十三、四ばかりおはす。 ]
( そのほど おんとし じゅう さん し ばかりおわす )

●原文に漢字を付加
その程、御年、十三、四ばかり御座す。

●訳
その頃、お年は、十三四ほどでいらっしゃる。

●言葉の意味
・おはす(御座す)・・・
「いらっしゃる」
「あり」の尊敬語。

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●原文
今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世にたちとまりて、
( いまはと そむき すて やまごもり しなむ のちの よに たちとまりて )
[ 今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世にたちとまりて、
( いまはと そむき すて やまごもり しなむ のちの よに たちとまりて ) ]

●原文に漢字を付加
今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世に立ち留まりて、

●訳
朱雀院は「俗世を捨てて出家した後に、俗世には女三の宮(おんなさんのみや)だけが残って、

●言葉の意味
・「し」・・・
動詞サ変「す」の連用形。
・「なむ」・・・
「~てしまうだろう」「きっと~するだろう」
連語。強い推量。
成り立ち:完了の助動詞「ぬ」の未然形 + 推量の助動詞「む」の連体形

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●その他
・「御」のおとは、「おほみ、おほん、おん、お、み」のうち、より調しらべのおとった。
・地の文で用いられる敬語は、作者からのうやまいのこころ
会話文で用いられる敬語は、話者からのうやまいのこころ

 
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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源氏物語 若菜(わかな)15

【キーフレーズ】
朱雀院(すざくいん)と女三の宮(おんなさんのみや)

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●原文
あまたの御中に、
(あまた の おんなか に)

●原文に漢字を付加
数多の御中に、

●訳
多くの御子(みこ)たちの中で、

 
●原文
すぐれてかなしきものに思ひかしづききこえたまふ。

●原文に漢字を付加
勝れて愛しきものに思ひ傅き聞こえ給ふ。

●訳
朱雀院は、女三の宮(おんなさんのみや)を、とりわけ愛(いと)おしく可愛がっていらっしゃった。

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●解説
・すぐれて(勝れて)・・・
「取り分け(とりわけ)」「際立って(きわだって)」
副詞。
・かなし(愛し)・・・
「愛(いと)しい」「可愛(かわい)い」
形容詞。
・おもひかしづく(思ひ傅く)・・・
「心をこめて世話をする」
・きこえ(聞こえ)・・・
補助動詞ヤ行下二「聞こゆ」の連用形。謙譲語。作者または話者からの動作対象に向けてのうやまいのこころ
ここでは、作者から女三の宮(おんなさんのみや)(動作の対象)に向けてのうやまいのこころ
・たまふ(給ふ)・・・
補助動詞ハ行四段「給ふ」の終止形。尊敬語。作者または話者からの動作主に向けてのうやまいのこころ
ここでは、作者から朱雀院(動作主)に向けてのうやまいのこころ

●その他
・「御」のおとは、「おほみ、おほん、おん、お、み」のうち、より調しらべのおとった。
・地の文で用いられる敬語は、作者からのうやまいのこころ
会話文で用いられる敬語は、話者からのうやまいのこころ

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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源氏物語 若菜(わかな) 14

【キーフレーズ】
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)と女三の宮(おんなさんのみや)

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●原文
世の中を恨みたるやうにて亡せたまひにし。
(よのなか を うらみ たる やう にて うせ たまひ に し)

●原文に漢字を付加
世の中を恨みたる様にて亡せ給ひにし、

●訳
世の中を恨んでいる様子で、お亡くなりになった、

●解説
・「たる」・・・
「~ている」
存続の助動詞「たり」の連体形。
動作が行われてその結果が残っていることを表す存続。
・「やうに」・・・
「~の状態で」「~の様子で」
状態の助動詞「やうなり」の連用形。
・「て」・・・
接続助詞。
・「にし」・・・
「~てしまった」
完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形
(本文ではその後の名詞に続くため、連体形の「し」となる)

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●原文
その御腹の女三の宮を
(その おほんはら の をんなさんのみや を)

●訳
その人(藤壺女御)がお産みになった女三の宮(おんなさんのみや)を、

●言葉
『源氏物語』では「御」を「おほん」と読むのが一般的。

●若菜1~14までの話
始めに朱雀院の事、次に藤壺女御の事が語られ、その後に若菜上巻で大きな位置を占める女三の宮の紹介が始まる。

●感想
略(ほぼ)すべての文に敬語&敬語に敬語...

 
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

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≪今日の言葉≫
「本を読み進める分だけ、私はより豊かになっていく」
チェーホフ

 
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源氏物語 若菜(わかな) 13

[キーフレーズ]
意気消沈する藤壺女御

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●原文
下りさせたまひにしかば
(おり させ たまひ に しか ば)

●訳
(朱雀帝は、)御譲位(ごじょうい)なさってしまわれたので、

●言葉の意味
・「下(お)る」・・・
「退位する」
・「さす」・・・
尊敬の意味をもつ助動詞。
「~なさる」「~あそばす」「お~になられる」
・給(たま)ひ・・・
尊敬の意味をもつ補助動詞「給ふ」の連用形。動詞や助動詞の後に付く。
「お~なさる」
・「に」・・・
完了の意味をもつ助動詞「ぬ」の連用形。
・「しか」・・・
過去の意味をもつ助動詞「き」の已然形。
・已然形・・・
「已(すで)に然(しか)るべき状態」(既にそうなっている状態)を表すことから已然形という。
<例> 「行けども」(「行け」が已然形)→「行ったので」
・「ば」・・・
原因・理由の意味をもつ接続助詞。未然形、已然形に付く。
「~ので」

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●原文
かひなく口惜しくて
(かひなく くちをしくて)

●訳
(朱雀帝が退位なされたため、藤壺女御は、)入内(じゅだい)した甲斐もなく、がっかりして

●言葉の意味
・「口惜し(くちをし)」・・・
「朽ち惜し」が語源。価値ある物が朽ち果てた時に、「失いたくない」と感じ、残念がる気持ち。
室町時代以降、「くやし」(「腹立たしい」の意)との混合が始まった。

●解説
・入内(じゅだい)・・・
女御(にようご)・中宮・皇后に決まった人が、正式に内裏(だいり)に入ること。

●その他
・助動詞の「き」と「けり」・・・
「き」は、実際に体験した過去。直接体験。「~した」。
「けり」は、他人から聞いた過去。間接体験。「~したそうだ」。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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源氏物語 若菜(わかな) 12

(正字体・歴史的仮名遣いと[現代字体・現代仮名遣い]を併記)

[キーフレーズ]
藤壺女御のストレス

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●原文
気圧されて、
(けおされて)

●訳
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)は、圧倒されて、

●原文
帝も御心のうちに、
(みかど も みこころ の うち に)

●訳
朱雀院も心の中で、

●原文
いとほしきものには思ひ聞こえさせ給ひながら、
(いとほしきものには おもひ きこえさせ たまひ ながら)
[いとおしきものには おもい きこえさせ たまい ながら]

●訳 1
気の毒に思(おぼ)し召(め)しながらも、

●訳 2
気の毒なものには思い申し上げながらも、

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●解説
・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)・・・
朱雀帝(すざくてい)の女御(にょうご)。
女三の宮(おんなさんのみや)の母。
先帝(桐壺帝のもう一つ前の帝)の皇女(おうじょ)。
朱雀帝が皇子(おうじ)時代に内裏(だいり)に入る。
本来は、中宮(天皇の后)という高位になってもよい身分だったが、有力な後ろ盾(うしろだて)がいなかったために、宮中での地位が脆(もろ)いものになってしまった。
母方のほうの系譜の上でも、有力者はいなかった。母親の身分も更衣(女御より一段低い位)だった。
これらの諸事情から、宮中づきあいも心細かった。
また、姑(しゅうとめ)である弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)が、朧月夜を内裏に入れた。
そして、弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)は朧月夜だけを贔屓(ひいき)にした。
つまり、父方の後見人・母方の血筋・母方の後見人・交際下手(べた)・宮中での待遇という諸々(もろもろ)の理由により、藤壺女御は、宮中生活に精神的圧迫感を感じていた。
そのような事情により、朱雀院は藤壺女御のことを気の毒に思わずにはいられなかった。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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