[キーフレーズ]
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)の事
●原文
ものはかなき更衣腹にてものしたまひければ、
●原文に漢字を付加
物(もの)果無(はかな)き更衣腹(かうい-ばら)にてものし給(たま)ひければ、
●訳
たいしたことがない更衣から生まれた皇女でいらっしゃったので、
●言葉の意味
・物(もの)果無(はかな)し・・・
どことなく頼りない。あまり力のない。
・更衣(かうい)
後宮(こうきゅう)で、天皇の寝所に仕える女官の一つ。「女御(にようご)」の下位(五位)。納言(なごん)以下の家柄の女子から選定。
・更衣腹(かういばら・こういばら)・・・
「更衣」から生まれた皇子・皇女
・後宮(こうきゅう)・・・
后妃や、奉仕する女官達の住む宮殿。
●原文
御(おん)交(ま)じらひのほども心細げにて、
●原文に漢字を付加
御(おん)交(ま)じらひの程(ほど)も心細げにて、
●訳
後宮(こうきゅう)での御付き合いのほうも疎(おろそ)かで、
●言葉の意味
・交(ま)じらひ・・・
交際。付き合い。
宮仕え。
・心細(こころ-ぼそ)し・・・
心細い。頼りない。
●解説
・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)・・・
女三の宮(をんなさんのみや・おんなさんのみや)の母。
朱雀帝の女御。
●その他
・助動詞の「き」と「けり」・・・
「き」は、実際に体験した過去。直接体験。
「けり」は、他人から聞いた過去。間接体験。「~したそうだ」。
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店