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文花【あやはな】(文学)

源氏物語 若菜(わかな)16

【キーフレーズ】
出家後の憂(うれ)い

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( 正字体・大和言葉の歴史的仮名遣いと
[現代字体・現代仮名遣い]を併記 )

●原文
そのほど、御年、十三、四ばかりおはす。
( そのほど おんとし じふ さん し ばかりおはす )
[ そのほど、御年、十三、四ばかりおはす。 ]
( そのほど おんとし じゅう さん し ばかりおわす )

●原文に漢字を付加
その程、御年、十三、四ばかり御座す。

●訳
その頃、お年は、十三四ほどでいらっしゃる。

●言葉の意味
・おはす(御座す)・・・
「いらっしゃる」
「あり」の尊敬語。

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●原文
今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世にたちとまりて、
( いまはと そむき すて やまごもり しなむ のちの よに たちとまりて )
[ 今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世にたちとまりて、
( いまはと そむき すて やまごもり しなむ のちの よに たちとまりて ) ]

●原文に漢字を付加
今はと背き捨て、山籠もりしなむ後の世に立ち留まりて、

●訳
朱雀院は「俗世を捨てて出家した後に、俗世には女三の宮(おんなさんのみや)だけが残って、

●言葉の意味
・「し」・・・
動詞サ変「す」の連用形。
・「なむ」・・・
「~てしまうだろう」「きっと~するだろう」
連語。強い推量。
成り立ち:完了の助動詞「ぬ」の未然形 + 推量の助動詞「む」の連体形

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●その他
・「御」のおとは、「おほみ、おほん、おん、お、み」のうち、より調しらべのおとった。
・地の文で用いられる敬語は、作者からのうやまいのこころ
会話文で用いられる敬語は、話者からのうやまいのこころ

 
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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好きな日本の古典

●古事記
日本の成り立ちがわかります。
神の代はおおらかです。

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●伊勢物語
NHKでやっていた「まんがで読む古典」は面白かったです。
『芥川』が好きです。

●古今集
流れるような言葉の調べ…
日本の心が詰まっています。

●大鏡
藤原氏には色々な人たちがいたことがわかって面白いです。
藤原氏にとって平安時代は平安ではなかったのです。

●徒然草
全編にわたって少しだけ笑える感じが好きです。
『丹波に出雲といふ所あり』が何度読んでも面白い!

●落窪物語
平安時代のシンデレラ!
田辺聖子さんの現代語訳が一番好きです。

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●平家物語
洗練された感じがいいです。
祇王の話が好きです。

●堤中納言物語
『虫愛づる姫君』がずば抜けてよく、描写や物語の設定もしっかりしていて、これだけでも読む価値があります。

●万葉集
何故か昔から好きでした。
豊かな情(こころ)、飾り気のない心に触れることができます。

 
≪参考文献≫
・蛇蔵(著),海野凪子(著)(2011)『日本人なら知っておきたい日本文学』幻冬舎

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≪今日の言葉≫
「書かざるをえないときのほかは書かない」
トルストイ

 
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源氏物語 若菜(わかな)15

【キーフレーズ】
朱雀院(すざくいん)と女三の宮(おんなさんのみや)

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●原文
あまたの御中に、
(あまた の おんなか に)

●原文に漢字を付加
数多の御中に、

●訳
多くの御子(みこ)たちの中で、

 
●原文
すぐれてかなしきものに思ひかしづききこえたまふ。

●原文に漢字を付加
勝れて愛しきものに思ひ傅き聞こえ給ふ。

●訳
朱雀院は、女三の宮(おんなさんのみや)を、とりわけ愛(いと)おしく可愛がっていらっしゃった。

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●解説
・すぐれて(勝れて)・・・
「取り分け(とりわけ)」「際立って(きわだって)」
副詞。
・かなし(愛し)・・・
「愛(いと)しい」「可愛(かわい)い」
形容詞。
・おもひかしづく(思ひ傅く)・・・
「心をこめて世話をする」
・きこえ(聞こえ)・・・
補助動詞ヤ行下二「聞こゆ」の連用形。謙譲語。作者または話者からの動作対象に向けてのうやまいのこころ
ここでは、作者から女三の宮(おんなさんのみや)(動作の対象)に向けてのうやまいのこころ
・たまふ(給ふ)・・・
補助動詞ハ行四段「給ふ」の終止形。尊敬語。作者または話者からの動作主に向けてのうやまいのこころ
ここでは、作者から朱雀院(動作主)に向けてのうやまいのこころ

●その他
・「御」のおとは、「おほみ、おほん、おん、お、み」のうち、より調しらべのおとった。
・地の文で用いられる敬語は、作者からのうやまいのこころ
会話文で用いられる敬語は、話者からのうやまいのこころ

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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玉葉集 行きなやむ

【キーフレーズ】
変わらぬ夏

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行きなやむ 牛の歩みに 立つ塵の 
風さへ暑き 夏の小車

いきなやむ うしのあゆみに たつちりの
かぜさへあつき なつのをぐるま

 
藤原定家(ふじわら の さだいえ)

玉葉集(ぎょくようしゅう)

 
この暑さでは、小車(おぐるま)を引いている牛の歩みも遅くなる。そして足元から乾いた土埃(つちぼこり)が舞い上がる。その土埃(つちぼこり)を巻き上げる風さえも暑苦しい。

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・なやむ(悩む)・・・
困る。骨が折れる。
・ちり(塵)・・・
ほこり。
・をぐるま(小車)・・・
牛車(ぎっしゃ)。牛に引かせる乗用の屋形車(やかたぐるま)。

 
王朝美からはほど遠い歌ですが、定家の作風の多様性がわかる歌です。
夏には涼しさを歌にするのが当時の常(つね)でしたが、定家は夏の感触をそのまま歌にしました。

昔も今も夏は暑かった。
事に触れて動く情(こころ)も変わっていない…

 
≪参考文献≫
・次田香澄(校訂)(1989)『玉葉和歌集』岩波書店

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≪今日の言葉≫
「文学は肉声の絵画である。肉声に似ているほど、その文学はすぐれている」
ヴォルテール

 
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源氏物語 若菜(わかな) 14

【キーフレーズ】
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)と女三の宮(おんなさんのみや)

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●原文
世の中を恨みたるやうにて亡せたまひにし。
(よのなか を うらみ たる やう にて うせ たまひ に し)

●原文に漢字を付加
世の中を恨みたる様にて亡せ給ひにし、

●訳
世の中を恨んでいる様子で、お亡くなりになった、

●解説
・「たる」・・・
「~ている」
存続の助動詞「たり」の連体形。
動作が行われてその結果が残っていることを表す存続。
・「やうに」・・・
「~の状態で」「~の様子で」
状態の助動詞「やうなり」の連用形。
・「て」・・・
接続助詞。
・「にし」・・・
「~てしまった」
完了の助動詞「ぬ」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形
(本文ではその後の名詞に続くため、連体形の「し」となる)

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●原文
その御腹の女三の宮を
(その おほんはら の をんなさんのみや を)

●訳
その人(藤壺女御)がお産みになった女三の宮(おんなさんのみや)を、

●言葉
『源氏物語』では「御」を「おほん」と読むのが一般的。

●若菜1~14までの話
始めに朱雀院の事、次に藤壺女御の事が語られ、その後に若菜上巻で大きな位置を占める女三の宮の紹介が始まる。

●感想
略(ほぼ)すべての文に敬語&敬語に敬語...

 
≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

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≪今日の言葉≫
「本を読み進める分だけ、私はより豊かになっていく」
チェーホフ

 
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源氏物語 若菜(わかな) 13

[キーフレーズ]
意気消沈する藤壺女御

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●原文
下りさせたまひにしかば
(おり させ たまひ に しか ば)

●訳
(朱雀帝は、)御譲位(ごじょうい)なさってしまわれたので、

●言葉の意味
・「下(お)る」・・・
「退位する」
・「さす」・・・
尊敬の意味をもつ助動詞。
「~なさる」「~あそばす」「お~になられる」
・給(たま)ひ・・・
尊敬の意味をもつ補助動詞「給ふ」の連用形。動詞や助動詞の後に付く。
「お~なさる」
・「に」・・・
完了の意味をもつ助動詞「ぬ」の連用形。
・「しか」・・・
過去の意味をもつ助動詞「き」の已然形。
・已然形・・・
「已(すで)に然(しか)るべき状態」(既にそうなっている状態)を表すことから已然形という。
<例> 「行けども」(「行け」が已然形)→「行ったので」
・「ば」・・・
原因・理由の意味をもつ接続助詞。未然形、已然形に付く。
「~ので」

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●原文
かひなく口惜しくて
(かひなく くちをしくて)

●訳
(朱雀帝が退位なされたため、藤壺女御は、)入内(じゅだい)した甲斐もなく、がっかりして

●言葉の意味
・「口惜し(くちをし)」・・・
「朽ち惜し」が語源。価値ある物が朽ち果てた時に、「失いたくない」と感じ、残念がる気持ち。
室町時代以降、「くやし」(「腹立たしい」の意)との混合が始まった。

●解説
・入内(じゅだい)・・・
女御(にようご)・中宮・皇后に決まった人が、正式に内裏(だいり)に入ること。

●その他
・助動詞の「き」と「けり」・・・
「き」は、実際に体験した過去。直接体験。「~した」。
「けり」は、他人から聞いた過去。間接体験。「~したそうだ」。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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古今集 色見えでうつろふものは

[キーワード]
うつろひ

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色見えで うつろふものは 世の中の
人の心の 花にぞありける

小野小町(おののこまち)

古今集 戀五 七九七

 
いろみえで うつろふものは よのなかの
ひとのこころの はなにぞありける

 
<漢字加へ>
色見えで 移ろふものは 世の中の
人の心の 花にぞ有りける

 
<直訳>
色が見えなゐで移ろふものは、世の中の人の心といふ花であつたのだなぁ…

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<意訳 1>
花も人の心も移ろふものだ。それが目に見えるか見えなゐかだけのはなしだ。
それを今更ながらに気づゐた…

 
<意訳 2>
花の移ろひは目に見える
目に見えず移ろひゆくのが人心ひとごころ

 
<意訳 3>
はなうつろひは見ゆれども
うらうつろひは見えぬものにや

花移ろひは見ゆれどもうら移ろひは見えぬものにや

花移ろひは目には見えるが、うら移ろひは見えないものか…

 
≪参考文献≫
・佐伯梅友(校注)(1981)『古今和歌集』岩波書店

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≪今日の言葉≫
「立志は特異を尚ぶ、俗流と與に議し難し」
(りつし は とくい を たふとぶ ぞくりう と とも に ぎし がたし)
吉田松陰

 
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源氏物語 若菜(わかな) 12

(正字体・歴史的仮名遣いと[現代字体・現代仮名遣い]を併記)

[キーフレーズ]
藤壺女御のストレス

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●原文
気圧されて、
(けおされて)

●訳
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)は、圧倒されて、

●原文
帝も御心のうちに、
(みかど も みこころ の うち に)

●訳
朱雀院も心の中で、

●原文
いとほしきものには思ひ聞こえさせ給ひながら、
(いとほしきものには おもひ きこえさせ たまひ ながら)
[いとおしきものには おもい きこえさせ たまい ながら]

●訳 1
気の毒に思(おぼ)し召(め)しながらも、

●訳 2
気の毒なものには思い申し上げながらも、

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●解説
・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)・・・
朱雀帝(すざくてい)の女御(にょうご)。
女三の宮(おんなさんのみや)の母。
先帝(桐壺帝のもう一つ前の帝)の皇女(おうじょ)。
朱雀帝が皇子(おうじ)時代に内裏(だいり)に入る。
本来は、中宮(天皇の后)という高位になってもよい身分だったが、有力な後ろ盾(うしろだて)がいなかったために、宮中での地位が脆(もろ)いものになってしまった。
母方のほうの系譜の上でも、有力者はいなかった。母親の身分も更衣(女御より一段低い位)だった。
これらの諸事情から、宮中づきあいも心細かった。
また、姑(しゅうとめ)である弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)が、朧月夜を内裏に入れた。
そして、弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)は朧月夜だけを贔屓(ひいき)にした。
つまり、父方の後見人・母方の血筋・母方の後見人・交際下手(べた)・宮中での待遇という諸々(もろもろ)の理由により、藤壺女御は、宮中生活に精神的圧迫感を感じていた。
そのような事情により、朱雀院は藤壺女御のことを気の毒に思わずにはいられなかった。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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源氏物語 若菜(わかな) 11

(正字体と現代字体,歴史的仮名遣いと現代仮名遣いを併記)

[キーフレーズ]
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)の周辺

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●原文
大后の、尚侍を参らせたてまつりたまひて、
おほきさい の ないしのかむ を まゐらせ たてまつり たまひて
[ 大后の、尚侍を参らせたてまつりたまいて、
おおきさい の ないしのかみ を まいらせ たてまつり たまいて ]

●原文に漢字を付加
大后の、尚侍を参らせ奉り給ひて、

●訳 1
大后が尚侍の君(かんのきみ)をお入れ申し上げなさって、

●訳 2
弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)が朧月夜を入内(じゅだい)させ申し上げなさって、

●解説
・大后・・・
弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)。桐壺帝の妃。朱雀帝の母。
・弘徽殿女御(こきでんのにょうご)・・・
桐壺帝在位中は、「后(きさい)」。
朱雀帝在位中は、「弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)」。
・朧月夜(おぼろづくよ、おぼろづきよ)・・・
弘徽殿女御(こきでんのにょうご)の妹。
尚侍の君(かんのきみ)と言う官位を賜って、朱雀帝に寵愛された。
・尚侍(ないし の かみ)・・・
内侍司(ないし の つかさ)の長官。女御(にようご)・更衣(こうい)に準ずる地位。
「かむ [かみ] 」は長官の意。ゆえに、「かむのきみ」「かみのきみ」「かんのきみ」と呼ばれる。
本文での「尚侍」は朧月夜を指す。

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●原文
かたはらに並(なら)ぶ人(ひと)なくもてなしきこえたまひなどせしほどに、
[ かたわらに並(なら)ぶ人(ひと)なくもてなしきこえたまいなどせしほどに ]

●原文に漢字を付加
側らに並ぶ人なく持て成し聞こえ給ひ等せし程に、

●訳 1
側に競争相手がいないほど厚く扱い申し上げなさったりしたので、

●訳 2
弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)は朧月夜だけを贔屓(ひいき)になされたので、

●解説
・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)・・・
朱雀帝(すざくてい)の女御(にょうご)。
女三の宮(おんなさんのみや)の母。
先帝(桐壺帝のもう一つ前の帝)の皇女(おうじょ)。
朱雀帝が皇子(おうじ)時代に入内(じゅだい)する。
本来は、中宮(天皇の后)という高位になってもよい身分だったが、有力な後見人がいなかったために、宮中での地位が脆弱(ぜいじゃく)なものになってしまった。
母方のほうの系譜の上でも、有力者はいなかった。母親の身分も更衣(女御より一段低い位)だった。
これら諸々の事情から、宮中づきあいも心細かった。
また、姑(しゅうとめ)である弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)が、朧月夜を入内させた。
そして、弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)は朧月夜だけを贔屓(ひいき)にした。
つまり、父方の後見人・母方の血筋・母方の後見人・交際下手(べた)・宮中での待遇という諸々(もろもろ)の理由により、藤壺女御は、宮中生活に精神的圧迫感を感じていた。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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文花【あやはな】(文学)

後拾遺集 七重八重花は咲けども

(正字体・歴史的仮名遣いと[現代字体・現代仮名遣い]を併記)

【キーフレーズ】
「蓑」と「実の」

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(詞書-ことばがき-)
小倉の家に住み侍りける頃、雨の降りける日、蓑借る人の侍りければ、山吹の枝を折りて取らせて侍りけり、心も得でまかりすぎて又の日、山吹の心得ざりしよし言ひにおこせて侍りける返りに言ひつかはしける
(訳)
小倉山付近の家に住んでおりました頃、雨の降った日に、客人が帰り際に蓑を借りたいと言われたので、山吹の枝を折って持たせました。その人は訳も分からずにお帰りになりました。何日か経って、(蓑を借りようとしたのに)山吹を折って渡された意味が分からなかったと言われたので、返事の代わりに歌を送りました。

 
七重八重 花は咲けども 山吹の
実のひとつだに なきぞあやしき

ななへやへ はなはさけども やまぶきの
みのひとつだに なきぞあやしき

[ななえやえ はなはさけども やまぶきの
みのひとつだに なきぞあやしき]

兼明親王
かねあきら しんなう
[かねあきら しんのう]

後拾遺集 1154
ご しふ ゐ しふ
[ご しゅう い しゅう]

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●漢字を付加
七重八重 花は咲けども 山吹の
実の一つだに 無きぞ奇しき

●訳
山吹の花は七重八重と艶(あで)やかに咲くのに、実が一つも結ばないのは不思議なことです。

●歌を通して客人に言いたかったこと
「実の無い枝」をお渡しすることで、私の家に「蓑(みの)が無い」ことを分かっていただけるでしょうか?

●歌にまつわるエピソード
太田道灌が蓑を借りようとある小屋に入ったところ、女性が無言で山吹の花一技を差し出したので、道灌は怒って帰宅した。後に山吹には兼明親王の歌を汲んでほしいという女の思いが託されていたことを知り、自分の無学を恥じたという話が『常山紀談』に載る。

 
《参考文献》
西下経一 校訂 (1940)『後拾遺和歌集』 岩波書店

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《今日の言葉》
「真実の山は、登って無駄に終わることはない」
ニーチェ

 
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