妙法蓮華經
觀世音菩薩
普門品
第二十五
【たへ のり はす はな かたり
よ の こへ を みる ボサツ
あまねき かど の しな
め ふと い】
—
妙法蓮華經
觀世音菩薩
普門品
第二十五
【ミョウ ホウ レン ゲ キョウ
カン ゼ オン ボサツ
フ モン ボン
ダイ ニジュウ ゴ】
●原文‥‥
杻械枷鎖
檢繫其身
【●もと あや‥‥
チュウ カイ カー サー
ケン ゲー ゴー シン】
●書き下し‥‥
杻械枷鎖によりて
其の身を檢繫せらるとも
【●かき くだし‥‥
チュウ カイ カ サ に より て
そ の み を ケンゲ せ らる とも】
●譯き‥‥
手枷、足枷、首枷、鎖によって、
其の身を繫がれることがあっても、
【●とき‥‥
てかせ、あしかせ、くびかせ、くさり に よって、
その み を つなが れる こと が あっ て も、】
●說き【とき】‥‥
「杻」:木製の手枷
【「チュウ」:モク セイ の て かせ】
「械」:木製の足枷
【「カイ」:モク セイ の あし かせ】
「枷」:木製の首枷
【「カ」:モク セイ の くび かせ】
「鎖」:足に繋ぐ鎖
【「サ」:あし に つなぐ くさり】
–
「檢繫せ」:「檢繫す」の未だ然らざるの形。
「らる」:受身の動き助け詞「らる」の終はり止めの形。
「とも」:仮定まり逆接ぎの接ぎ助け詞「とも」。直前語は終はり止めの形。
【「ケンゲせ」:「ケンゲす」の いまだ さら ざる の かた。
「らる」:うけみ の うごき たすけ こと「らる」の をはり とめ の かた。
「とも」:かり さだまり さか つぎ の つぎ たすけ こと「とも」。ひた まへ こと は をはり とめ の かた。】
—
「檢繫せ」:「檢繫す」の未然形。
「らる」:受身の助動詞「らる」の終止形。
「とも」:仮定逆接の接續助詞「とも」。直前語は終止形。
【「ケンゲせ」:「ケンゲす」の ミ ゼン ケイ。
「らる」:うけみ の ジョ ドウ シ「らる」の シュウ シ ケイ。
「とも」:カ テイ ギャク セツ の セツ ゾク ジョ シ「とも」。チョク ゼン ゴ は シュウ シ ケイ。】
●原文‥‥
稱觀世音菩薩名者
【●もと あや‥‥
ショウ カン ゼ オン ボ サツ ミョウ シャ】
●書き下し‥‥
觀世音菩薩の名を稱へば
【●かき くだし‥‥
カン ゼ オン ボサツ の な を となへ ば】
●譯き 一‥‥
觀世音菩薩の名を稱へるならば、
【●とき ひ‥‥
カン ゼ オン ボサツ の な を となへる なら ば、】
●譯き 二‥‥
心から觀世音菩薩の名を稱へるならば、
【●とき ふ‥‥
こころ から カン ゼ オン ボサツ の な を となへる なら ば、】
●原文‥‥
皆悉斷壞
卽得解脫
【●もと あや‥‥
カイ シ ダン ネ
ソク トク ゲ ダツ】
●書き下し 一‥‥
皆悉く斷たれ壞れ
卽ち解き脫るることを得
【●かき くだし ひ‥‥
みな ことごとく たた れ こほれ
すなはち とき のがるる こと を う】
●書き下し 二‥‥
皆悉く斷し壞れ
卽解脫を得
【●かき くだし ふ‥‥
みな ことごとく ダンし こほれ
ソク ゲ ダツ を う】
●譯き‥‥
其の者を繫いでゐた鎖等は全て切斷されて壞れてしまひ、
卽座に其の難から逃れられる。
【とき‥‥
その もの を つない で ゐ た くさり など は すべて セツダンさ れ て こはれ て しまひ、
ソク ザ に その ナン から のがれら れる。】
≪參ね物(參考文獻)【たづね もの(サンコウ ブンケン)】≫
・林達夫ほか (1972)『世界大百科事典』平凡社
・金田一春彦 (1977)『新明解古語辞典』三省堂
・藤堂明保 (1978)『学研漢和大字典』学研プラス