●「過去」の意味‥‥
過去における動作の開始から終了を表す。
(時制は過去。)
●「完了」の意味‥‥
直前に動作が終了して、その終了状態が継続していることを表す。(現代語の例:「今、目が覚めた。(そして、覚めた状態が継続している。)」)
(時制を問わないため、「過去完了」「現在完了」「未来完了」がある。)
●「存続」の意味‥‥
動作が継続していることを表す。
(時制を問わないため、「過去存続」「現在存続」「未来存続」がある。)
●「過去」を意味する古語‥‥
き、けり
●「完了」を意味する古語‥‥
つ、ぬ、たり、り
●「存続」を意味する古語‥‥
たり、り
●「過去」を意味する現代語‥‥
た
●「完了」を意味する現代語‥‥
た、てしまう、てしまった
●「存続」を意味する現代語‥‥
ている、てある
●「過去・現在・未来・完了・存続」について‥‥
「過去」、「現在」、「未来」は、
時制に関係する文法用語。
「完了」、「存続」は、
継続に関係する文法用語。
(「完了」は、動作の終了から動作の終了状態の継続。)
(「存続」は、動作の継続。)
「完了」と「存続」は時制を問わないため、
「過去完了」、「現在完了」、「未来完了」、
「過去存続」、「現在存続」、「未来存続」、
がある。
●同じ単語で違う意味の単語‥‥
古語では、「存続」と「完了」で同じ単語(「たり」「り」)がある。
現代語では、「過去」と「完了」で同じ単語(「た」)がある。
●「過去」と「完了」‥‥
現代語では、例えば「今朝、彼は帰った」だけでは、
「過去」か「完了」かは判らず、前後のつながりから判断するしかない。
「過去」・・・今朝の彼の動作だけを述べている。(過去の事だけを述べている。今の彼の状態は分からない。)
「完了」・・・今朝の彼の動作だけでなく、今の彼の状態についても述べている(今朝、彼は帰って、今も帰ってしまった状態が継続している。)
しかし、古語では、「過去」を意味する単語と「完了」を意味する単語は違うため、前後のつながりから判断せずとも判別できる。
「過去」・・・「今朝、彼は帰りき」
「完了」・・・「今朝、彼は帰りぬ」
≪助け物等【たすけ もの など】(参考文献等)≫
・中原敬一 (1984)『1日1題・30日完成 古典文法』日栄社
・大野晋 (1988)『日本語の文法〈古典編〉』角川書店
≪關はり有る文章【かかはり ある ふみ あや】(関連記事)≫
・「完了」(古典文法)
・過去の助動詞「けり」(古典文法)