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反省
●本文の大意
仏教の「反省」といふは、世に言ふ「反省」にはあらず。
天台は此(こ)の「反省→自覚」の道筋を「反照観察」といふ。
『止観』大意章の「心の起こす所の善悪の諸念(九界の諸念)に従ひて、無住著の智を以って反照し観察すべし」といふが之(これ)なり。
此(こ)の<反照観>を反省行といふ。
●解説
・九界(くかい)・・・
十界(じっかい)のうち、仏界をおきたる九つの境(さかひ)。
六(む)つの、迷ひの境(さかひ)。
三(み)つの、悟りへと向かへる途途(みちみち)の境(さかひ)。
九界(迷ひの境・悟りへ向かへる途途(みちみち)の境)及び悟りの境(さかひ)たる仏界を合はせ、十界(じっかい)といふ。
・住著(じゅうちゃく)・・・
一(ひと)つ所(ところ)に留(と)め居(を)るさま。
・無住著(むじゅうちゃく)・・・
心を一つ境(さかひ)に留(と)めず、悟りへと向かひ続くるさま。
●本文の大意(訳)
仏教で言う「反省」は、世に言う「反省」ではない。
天台では、この「反省→自覚」の道筋を「反照観察」と言う。
『止観』大意章の「心の起こす所の善悪の諸念(九界の諸念)に従って、無住著の智を以って反照し観察すべし」と言うがこれにあたる。
この<反照観>を反省行と言う。
●解説(訳)
・九界(くかい)・・・
十界(じっかい)のうち、仏界を除いた九つの境(さかい)。
六(む)っつの、迷いの境(さかい)。
三(み)っつの、悟りへと向かっている途すがら(みちすがら)の境(さかい)。
九界(迷いの境・悟りへ向かっている途すがら(みちすがら)の境)及び、悟りの境である仏界を合わせて十界(じっかい)という。
・住著(じゅうちゃく)・・・
一(ひと)つ所(ところ)に留(とど)まり続けること。
・無住著(むじゅうちゃく)・・・
心を一つ境(さかい)に留(とど)めず、悟りへと向かい続けること。
・反省 = 反照観察 = 「反省→自覚」の道筋
●言葉の意味
・「おく」・・・
除く。
・「居(を)る」・・・
~し続ける
《参考文献等》
・石田次男, 本橋雅史(1986)『現代諸学と仏法』日経企画出版局
・中村元(翻訳)(1958)『ブッダのことば―スッタニパータ』岩波書店
・『中杉 弘のブログ』
(アクセス日:2017/6/2)