見渡せば 花も紅葉も なかりけり
浦の苫屋の 秋の夕暮れ
みわたせば はなももみぢも なかりけり
うらのとまやの あきのゆふぐれ
新古今和歌集め
藤原定家
一一六二年生まれ
【にひ いにしへ いま やまと うた つめ
ふじはら の さだいへ
ち も むと ふ とせ うまれ】
[譯き]
海邊を見渡してみると、
此処には色美しい春の櫻の花も
秋の紅葉もない。
海邊には苫屋があるだけだ。
寂しい秋の夕暮れよ。
【[とき]
うみべ を みわたし て みる と、
ここ に は いろうつくしい はる の さくら の はな も
あき の もみぢ も ない。
うみべ に は とまや が ある だけ だ。
さびしい あき の ゆふぐれ よ。】
[說き]
西行に勧められて詠んだ歌。
華やかさと寂しさの対比。
【[とき]
サイギョウ に すすめら れ て よん だ うた。
はなやかさ と さびしさ の タイヒ。】
[ad#a-auto-1]
[ad#a-336-1]
≪參ね物(參考文獻)【たづね もの(サンコウ ブンケン)】≫
・林達夫ほか (1972)『世界大百科事典』平凡社
・金田一春彦 (1977)『新明解古語辞典』三省堂
・藤堂明保 (1978)『学研漢和大字典』学研プラス