●動詞の特徴‥‥
言い切りが、ウ段で終わる。
(例外:ラ行変格活用はイ段)
●直前語が終止形になる助詞‥‥
・仮定逆接の接続助詞「と」。
・引用の格助詞「と」。
・引用の「とて」。(「と」:格助詞。「て」:接続助詞。)
●仮定逆接の接続助詞「と」の例‥‥
二三にては死ぬともあらじ
【ふ み にて は しぬ とも あら じ】
([出典]枕草子)
[訳]
二番目、三番目の女では、死んでも居たくない。
[意訳]
たとえ死んであの世で暮らすことになっても、
二番目、三番目の女では居たくない。
「死んでも」→
「死んであの世で暮らすことになっても」→
「永久に」「絶対に・何がどうあっても・どうしても)」
●引用の格助詞「と」の例‥‥
今はただ
「思ひ絶えなむ」
とばかりを
人づてならで
言ふよしもがな
【いま は ただ
「おもひ たえ な む」
と ばかり を
ひとづて なら で
いふ よし もが な】
([出典]後拾遺集 藤原道雅)
[訳]
今はただ、
「あなたへの想いを絶ってしまおう」
という一言だけを、
人伝【ひとづて】ではなく、
直接会って言う術【すべ】があってほしいものだ。
[意訳]
今はただ、
「想いを断ち切る」
という一言だけを、
伝言ではなく、
直接会って言う手立て【てだて】がほしい。
「な」:完了の助動詞「ぬ」の未然形。
「む」:意志の助動詞「む」の終止形。
「もがな」:願望の意(「~であってほしい」)。願望の終助詞「もが」+願望の終助詞「な」。
●引用の「とて」の例‥‥
「子となり給ふべき人なめり」とて、
【「こ と なり たまふ べき ひと な めり」と て、】
([出典]竹取物語)
[訳 1]
「私の子供におなりになるはずの方であるようだ」と言って、
[訳 2]
「我が子におなりになる方であると感ずる」と言って、
[意訳]
「神様が『この子を育てるように』と、私に子供を授けてくださったのだろう」と言って、
「べき」:当然の助動詞「べし」(「~はずだ」)の連体形、
又は、推量の助動詞「べし」(「~だろう」)の連体形。
「な」:断定の助動詞「なり」の連体形。
「めり」:推量の助動詞「めり」(「~のだろう・~ようだ」)の終止形。
≪助け物等【たすけ もの など】(参考文献等)≫
・大野晋 (1988)『日本語の文法〈古典編〉』角川書店
・金田一春彦 (1977)『新明解古語辞典』三省堂
・藤堂明保 (1978)『学研漢和大字典』学研プラス
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