〈キーワード〉
観ずる
●本文
真の観心(かんじん)は、反省→自覚でしか得られない。
これを「得意」という。
観心(かんじん)は反省自覚なり。
推理、つまり論理考察からは、決して観心は得られない。
●解説
・観心(かんじん)・・・
自分の心の本性を観察すること。
観心をすることで「真実を明らか」にする。
・得意・・・
意を得る → 意図するところ(真実を明らかにすること)を実現する
・推理・・・
既知(きち)の事柄を基にして、思考の筋道を辿(たど)って、未知の事柄を推(お)し量(はか)ること。
(同義) 既知の事柄を基にして、新しい一つの判断を下(くだ)すこと。
●本文
己心(こしん)を観じて、十法界を見る。そして仏界を得る。
●解説
・己心・・・
自己の心。
・観ずる・・・
確(しっか)りと集中して見る。対象と自己を同一化させる。
・観ずる、即(すなわ)ち観(み)ている時、人はその対象そのものになっている。
「観る」は、「見る」や「眺める」とは違う。
仏教成立以前は、「観」には「神人合一」(神と人の一体化)という意味が含まれていた。
・神人合一・・・
神と人との一体化。神と人との区別が無くなっている状態。
・十法界(じっぽうかい)の諸解釈・・・
① 迷いや悟りなど、人間の心の全ての境地(状態)を10種に分類したもの。
② 人間の精神状態を10種に分類したもの。
③ 人間の生命の全ての状態を10種に分類したもの。
④ 人間の生命には10種の生命があるというもの。
⑤ あの世の世界を10種に分類したもの。
・十法界は仏法の生命観の基本である。
十界(じっかい)、十界論、十方界とも言われる。
・仏界とは十法界の一つ。
・仏界の諸解釈
①真理を悟った者が体現した至極の境地。
②真理を悟った者の至極の心的境地。
③壊(こわ)れることのない自由自在の状態(常)、
生きること自体を楽しむ状態(楽)、
何物にも左右されない主体性がある状態(我)、
何物にも汚されることのない清浄(しょうじょう)な状態(浄)、
以上の4つの状態に象徴される至極の境地。
《参考文献等》
・石田次男, 本橋雅史(1986)『現代諸学と仏法』日経企画出版局
・『中杉 弘のブログ』
(アクセス日:2017/4/10)