【キーフレーズ】
変わらぬ夏
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行きなやむ 牛の歩みに 立つ塵の
風さへ暑き 夏の小車
いきなやむ うしのあゆみに たつちりの
かぜさへあつき なつのをぐるま
藤原定家(ふじわら の さだいえ)
玉葉集(ぎょくようしゅう)
この暑さでは、小車(おぐるま)を引いている牛の歩みも遅くなる。そして足元から乾いた土埃(つちぼこり)が舞い上がる。その土埃(つちぼこり)を巻き上げる風さえも暑苦しい。
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・なやむ(悩む)・・・
困る。骨が折れる。
・ちり(塵)・・・
ほこり。
・をぐるま(小車)・・・
牛車(ぎっしゃ)。牛に引かせる乗用の屋形車(やかたぐるま)。
王朝美からはほど遠い歌ですが、定家の作風の多様性がわかる歌です。
夏には涼しさを歌にするのが当時の常(つね)でしたが、定家は夏の感触をそのまま歌にしました。
昔も今も夏は暑かった。
事に触れて動く情(こころ)も変わっていない…
≪参考文献≫
・次田香澄(校訂)(1989)『玉葉和歌集』岩波書店
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≪今日の言葉≫
「文学は肉声の絵画である。肉声に似ているほど、その文学はすぐれている」
ヴォルテール