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言の葉【ことのは】

義務の助動詞「べし」(古典文法)

●義務の助動詞「べし」の意…
「~(し)なくてはいけない」(否定の禁止表現)
「~(し)ないといけない」(否定の禁止表現)
「~(し)ないと」(否定の禁止表現)
「~ねばならぬ」(否定の条件表現)
「~ねばならない」(否定の条件表現)
「~(し)なければならない」(否定の条件表現)
「~べきだ」(上記表現の意を全て含んだ古語(ふること)的表現)

 
●「べし」の直前單語…
活用語の終止形。

 
●「べし」の活用型…
形容詞ク活用型

 
●「べし」の活用…
べく /べく /べし/べき /〇  /〇
べから/べかり/〇 /べかる/べけれ/〇

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●例への文(たとへのあや)…

「人の歌の返し、疾くすべし」
(『枕草子・心もとなきもの』の文(あや)を改(あらた)む)
[訳(と)き] 返歌は早くしなければならない。

「生を愛すべし。」
[出典] 徒然草・九三(こそ あまり み)
[訳き] 生を愛さなければならない。

「打つべきなり。」
[出典] 徒然草・一一〇(もも あまり と)
[訳き] 打つべきである。

「探すべし。」
[訳き] 探さないといけない。

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●人に指図する表現(強い順)(「探す」を例(たと)へに説く)…

①【命令】「探せ」
「探せ」
(言外の意:「探せ。そうすれば、望んでゐる未来が現實になる。」)

②【義務(緩(ゆる)やかな命令)】「探さなくてはいけない」
「探さない」(否定表現)ことは「いけない」(禁止表現)

「探さなくてはいけない」
(言外の意:「望んでゐる未来が現實になるためには、探さないといふ行爲を禁止する。」)
(完全に命令してはゐないが、否定行動を禁止することで、やんわりと命令してゐる。)

③【②よりもユルい義務(緩(ゆる)やかな命令)】「探さなければならない」
「探さなければ」+「望んでゐる未来が現實にならない。」

(「望んでゐる未来が現實に」が省かれて…)

「探さなければ」(否定の条件表現:「~しないならば」) + 「ならない」(「なる」の否定形)

「探さなければならない」
(言外の意:「探すことをしないならば、望んでゐる未来が現實にならない。」)
(完全に命令してはゐないが、否定行動をしたならば、望んでゐる未来が現實にならないことを言外に含むことで、やんわりと命令してゐる。)

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≪参考文献≫
・望月光 (2014)『古文教室 古典文法編』旺文社
・中原敬一 (1984)『1日1題・30日完成 古典文法』日栄社
・大野晋 (1988)『日本語の文法〈古典編〉』角川書店
・「現代日本語文法概説」>「36. 義務・必要・不必要」
www.geocities.jp/niwasaburoo/36gimu.html
(アクセス日:2017/11/5)
・「生活日本語会話」>「義務を示す否定の条件表現」
web.ydu.edu.tw/~uchiyama/conv/shinai.html
(アクセス日:2017/11/5)

 
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言の葉【ことのは】

受身の助動詞「る」(古典文法)

●受身の助動詞「る」の活用の型…
下二段型。

●受身の助動詞「る」の活用…
れ/れ/る/るる/るれ/れよ

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●例への文(たとへのあや)…

「使は れ む と て、付き て 來る 童(わらは) あり。」
[出典] 土佐日記 一・二一(ひ・ふそ あまり ひ)
[訳(と)き] 使はれやうとして、付きて來る童あり。
[解き] 「れ」:受身の助動詞「る」の未然形.直前單語は未然形.
   「む」:意思の助動詞「む」の終止形.直前單語は未然形.

「慾 に 使は れ て、」
(『徒然草 段三八(くだり みそ あまり や)』の文(あや)を改(あらた)む)
[訳き] 慾に操(あやつ)られて、
[解き] 「れ」:受身の助動詞「る」の連用形.直前單語は未然形.

「ある 人 に 誘は れ て、」
[説き] ある人に誘はれて、
[解き] 「れ」:受身の助動詞「る」の連用形.直前單語は未然形.

「物 に 追は れ て、」
[説き] 物の怪(け)に追はれて、
[解き] 「れ」:受身の助動詞「る」の連用形.直前單語は未然形.

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「君(きみ) に 叱(しか)ら る。」
[説き] 主人に叱られる。
[解き] 「る」:受身の助動詞「る」の終止形.直前單語は未然形.

「人 に いとは る。」
[説き] 人に嫌われる。
[解き] 「る」:受身の助動詞「る」の終止形.直前單語は未然形. 

「思は るる 子」
(『枕草子 段二六七(くだり ふもも あまり むそ あまり な)』の文を改む)
[訳き] 愛される子
[解き] 「るる」:受身の助動詞「る」の連體形.直前單語は未然形.

「物 に 襲は るる 心地」
(『源氏物語 夕顏』の文を改む)
[説き] 物の怪(け)に襲はれる心地
[解き] 「るる」:受身の助動詞「る」の連體形.直前單語は未然形.

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≪参考文献≫
・望月光 (2014)『古文教室 古典文法編』旺文社
・中原敬一 (1984)『1日1題・30日完成 古典文法』日栄社
・大野晋 (1988)『日本語の文法〈古典編〉』角川書店

 
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