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文花【あやはな】(文学)

源氏物語 若菜(わかな) 13

[キーフレーズ]
意気消沈する藤壺女御

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●原文
下りさせたまひにしかば
(おり させ たまひ に しか ば)

●訳
(朱雀帝は、)御譲位(ごじょうい)なさってしまわれたので、

●言葉の意味
・「下(お)る」・・・
「退位する」
・「さす」・・・
尊敬の意味をもつ助動詞。
「~なさる」「~あそばす」「お~になられる」
・給(たま)ひ・・・
尊敬の意味をもつ補助動詞「給ふ」の連用形。動詞や助動詞の後に付く。
「お~なさる」
・「に」・・・
完了の意味をもつ助動詞「ぬ」の連用形。
・「しか」・・・
過去の意味をもつ助動詞「き」の已然形。
・已然形・・・
「已(すで)に然(しか)るべき状態」(既にそうなっている状態)を表すことから已然形という。
<例> 「行けども」(「行け」が已然形)→「行ったので」
・「ば」・・・
原因・理由の意味をもつ接続助詞。未然形、已然形に付く。
「~ので」

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●原文
かひなく口惜しくて
(かひなく くちをしくて)

●訳
(朱雀帝が退位なされたため、藤壺女御は、)入内(じゅだい)した甲斐もなく、がっかりして

●言葉の意味
・「口惜し(くちをし)」・・・
「朽ち惜し」が語源。価値ある物が朽ち果てた時に、「失いたくない」と感じ、残念がる気持ち。
室町時代以降、「くやし」(「腹立たしい」の意)との混合が始まった。

●解説
・入内(じゅだい)・・・
女御(にようご)・中宮・皇后に決まった人が、正式に内裏(だいり)に入ること。

●その他
・助動詞の「き」と「けり」・・・
「き」は、実際に体験した過去。直接体験。「~した」。
「けり」は、他人から聞いた過去。間接体験。「~したそうだ」。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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