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文花【あやはな】(文学)

源氏物語 若菜(わかな) 12

(正字体・歴史的仮名遣いと[現代字体・現代仮名遣い]を併記)

[キーフレーズ]
藤壺女御のストレス

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●原文
気圧されて、
(けおされて)

●訳
藤壺女御(ふじつぼのにょうご)は、圧倒されて、

●原文
帝も御心のうちに、
(みかど も みこころ の うち に)

●訳
朱雀院も心の中で、

●原文
いとほしきものには思ひ聞こえさせ給ひながら、
(いとほしきものには おもひ きこえさせ たまひ ながら)
[いとおしきものには おもい きこえさせ たまい ながら]

●訳 1
気の毒に思(おぼ)し召(め)しながらも、

●訳 2
気の毒なものには思い申し上げながらも、

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●解説
・藤壺女御(ふじつぼのにょうご)・・・
朱雀帝(すざくてい)の女御(にょうご)。
女三の宮(おんなさんのみや)の母。
先帝(桐壺帝のもう一つ前の帝)の皇女(おうじょ)。
朱雀帝が皇子(おうじ)時代に内裏(だいり)に入る。
本来は、中宮(天皇の后)という高位になってもよい身分だったが、有力な後ろ盾(うしろだて)がいなかったために、宮中での地位が脆(もろ)いものになってしまった。
母方のほうの系譜の上でも、有力者はいなかった。母親の身分も更衣(女御より一段低い位)だった。
これらの諸事情から、宮中づきあいも心細かった。
また、姑(しゅうとめ)である弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)が、朧月夜を内裏に入れた。
そして、弘徽殿大后(こきでんのおおきさい)は朧月夜だけを贔屓(ひいき)にした。
つまり、父方の後見人・母方の血筋・母方の後見人・交際下手(べた)・宮中での待遇という諸々(もろもろ)の理由により、藤壺女御は、宮中生活に精神的圧迫感を感じていた。
そのような事情により、朱雀院は藤壺女御のことを気の毒に思わずにはいられなかった。

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≪参考文献≫
・山岸徳平(校注)(2010)『源氏物語』岩波書店

 
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