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言の葉【ことのは】

反実仮想の「まし」2(古典文法)

●「反実仮想」とは‥‥
現実に反する事を
仮りに想像して述べること。

 
●「反実仮想」の訳‥‥
もし~(だった)としたら…(だった)だろう(に)
もし~(だった)ならば…(だった)だろう(に)

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●反実仮想「~ませば…まし」の例‥‥

わが背子と二人見ませば
いくばくかこの降る雪のうれしからまし

【わが せこ と ふたり み ませ ば
いくばく か この ふる ゆき の うれしから まし】

([出典]万葉集)

[訳]
私の夫と二人で見たならば、
どれほどかこの降る雪がうれしかったことであろう。
私一人で見ているので、雪を見ても嬉しく感じない。

[意訳]
二人で雪を見たかった…

「ませ」:助動詞「まし」の未然形。
「まし」:助動詞「まし」の終止形。

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●反実仮想「~ば…まし」の例‥‥
障りにあるものを
もしとだに聞かば
何を思はましと

【さはり に ある もの を
もし と だに きか ば
なに を おもは まし と】

([出典]蜻蛉日記)

[訳]
「体調が悪いので、もしかしたら行けない」
とだけ聞いていたら、
何を苛立つことがあったろうと。
何の連絡もないので、ずっと苛立っていた。

[意訳]
一言【ひとこと】言ってくれれば、
イライラすることもなかったのに…

「障【さは】り」:「体調における差し障り」
「ものを」:「~ので・~だから」
「思は」:「おもふ」の未然形。「苛立つ・イライラする・やきもきする」

 
≪助け物等【たすけ もの など】(参考文献等)≫
・大野晋 (1988)『日本語の文法〈古典編〉』角川書店
・金田一春彦 (1977)『新明解古語辞典』三省堂
・藤堂明保 (1978)『学研漢和大字典』学研プラス

 
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